ストーリー
身の回りの物に目を描くと、それに命が宿って動き出す世界。なんにでも目を描いてしまう少年はいつも小児科に連れられて、変な癖もそのうち治ると慰められていた。ある日、少年は自分の腕に目を描いてしまう。腕には新たな命が宿り、医師たちは動き出した目を摘出するため少年に手術を施そうとする。選評
「描きたいもの」が明快にあって、それを表現する力も持っています。素晴らしいです。あとは、どれだけ読者に寄り添えるか、つまり「わかりやすく描けるか」が重要だと思います。絵も上手ですが、人物の顔は俯瞰になるとデッサンが狂うところが散見されるので、その点は注意して欲しいです。(編集部員・寺山)不思議な設定に不思議な行動を繰り返す人物たち。作品世界のルールがとっさに飲みこめないのに読みづらく感じないところに、細部まで考え抜かれていることを感じました。命をもって動き出す目の描写には、気味が悪いと言って切って捨てられない魅力があります。次の作品もおおいに期待です!(編集部員・姜)
嚙めば嚙むほど味が出る、とはこの作品のこと。異様に「眼」に執着する子供や、大人達の無機質な冷静さがとても不気味で不可解…。なのに、それが一周回って心地良くなってきて、何度も読み返してしまった。謎だらけなのにここまで読者を引き込めるのは、独特なセンスが成し得る業。他にどんな作品を描くのか、気になります。(編集部員・齋藤)
小児科・眼科(2017/07/13)
プロフィール
- 菅野カラン(かんの・からん)
- 東京都・29歳