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月刊「モーニング・ツー」(毎月22日頃発売)にて絶賛連載中の、片山ユキヲ氏が描くダークファンタジー漫画『夜明けの旅団』

第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、“死霊”と呼ばれるリビングデッドとの戦いを描く本作は、ファンタジーでありながら時代考証にもこだわり、丁寧な「歴史描写」を続けています。

この作品の時代考証を務めるのが、かわぐちかいじ『ジパング』野田サトル『ゴールデンカムイ』髙橋ツトム『士道サンライズ』などに携わる歴史作家・時代考証家の後藤一信氏です。

本企画では、『夜明けの旅団』の原稿をチェックした後藤氏による「時代考証」を、インタビュー形式の記事で毎月公開していきます。




『夜明けの旅団』#3「Giant Step」のココが凄い!

——月刊「モーニング・ツー」2018年7号(5月22日発売)に掲載されている、#3「Giant Step」をお読みになっての感想を、時代考証の視点から教えてください。

後藤 今回の見所は、何と言っても誌面狭しと暴れまくる数々のメカニックたちでしょう! まずは独国が誇る重戦車、「6号戦車ティーガーⅠ」(1ページ目の1コマ目から登場)。ジョニーボーイ&ハニーバニー大追跡でも「8.8cm Kwk36L/56砲」が火を噴き、間一髪まで追い込む大活躍を見せていますね。欧州最狂の猛虎は、敵役がよく似合う! 12ページ目3コマ目から登場する「BMW R75オートバイ」も俊足ですので、リアリティと迫力のあるカーチェイスになっていると思います。






後藤 次いで作中で活躍しているのが、「フォルクスワーゲン タイプ166(シュビムワーゲン:泳ぐ車)」。前にタイヤを乗せた風呂桶の様な特徴的な車体が、優れたデッサン力で様々なアングルから正確に描写されていると思います。






後藤 さらには、オートバイと無限軌道(キャタピラ)が合体した「Sd.Kfz.2(ケッテンクラート)」まで登場させていて芸が細かい。小型ながら自走砲牽引用に開発された力持ちで、振動と騒音が酷く乗り心地は最悪ながら、最高時速は70km/hと優秀で、カーチェイスシーンに向いていると思います。






後藤 25ページ目の4コマ目で横転しているのは、「重統制型軍用車ホルヒ タイプ1a」ですね。車体側面にメリ込むように収納されている特徴的な予備タイヤが忠実に描かれています。26ページ目の1コマ目では、驚きの細かさで車体下部のドライブシャフト、デファレンシャル・ギヤボックス、ダブル・ウィッシュボーン・サスペンション、ステアリング・ロッドまでもが完璧に描かれている。もはや米粒に写経するレベルの画力……凄すぎます。私的には、今回一番の推しゴマです!






後藤 連合国側の描写も良いですね。42ページ目には「中戦車 M4 シャーマン」、そして、「ホーカー・テンペスト Mk.5戦闘機」が登場、ド迫力の超低空飛行で支援攻撃を行おうとしています。きっと両翼の20mm機関砲4門で、迫り来る死霊どもを一掃したことでしょう!






後藤 今回はメカ描写だけでご飯三杯は余裕で食べられる量&質で、私のようなメカマニアも大満足の仕上がりでした。





『夜明けの旅団』#3「Giant Step」のココが“違う”!

——ありがとうございました。では今月も、時代考証の視点から、史実とは違う部分や、描写がおかしい部分があれば教えてください。

後藤 まずは全体的なところで、今回敵役として登場する武装親衛隊(SS)の兵士たちの服装が気になりました。多くの場合、SSは先進的な装備を優先的に配給されており、迷彩スモックを着用していました(1937年より制式採用されました)。ですが、この#3に登場する兵士たちは「M43野戦服」と思われる戦闘服を着用しており、武装親衛隊なのか国防陸軍なのかが一目で判別できません。絶対に間違いというわけではありませんが、より正確に描写するのであれば、特に屋外にいる兵士たちには、迷彩スモックを着せた方が良いでしょう。

というのも、武装親衛隊はナチ党・ヒトラーに忠誠を誓う私兵的な存在であり、国防陸軍とは完全に命令系統が異なります。また、お互いにかなり嫌い合っていました。史実においても、両者が行動を共にしたことはありません。ですので、両者をハッキリと区別して描くことは、歴史描写として重要です。






後藤 次に、細かい部分ですが2ページ目の5コマ目と11ページ目の2コマ目で、兵士が「ルガーP08拳銃」を持っていますが、通常、兵士は拳銃を持ちません。ここは、「MP40短機関銃」、もしくは「StG44突撃銃」を持たせるのが良かったと思います。ちなみに、仮にこの兵士が下士官「軍曹」であれば拳銃を携帯しており、その場合は間違いではありません。また、機関銃手にも自衛用として拳銃が支給されていましたが、今回の場合は当てはまらないようです。






後藤 それから、オートバイ兵の服装についても気になりました。作中では他の兵士と同じように「M43野戦服」を着ていますが、多くの場合オートバイ兵は防寒用の専用つなぎやコートを着用していました。

また、「BMW R75 オートバイ」の燃料タンクにあるはずのBMWのエンブレムが描かれていません。確かに脱落しやすいパーツなので、実際は付いていないものも多数存在したようですが、特徴的なので描いた方がより良いと思います。






後藤 14ページ目に描かれる2両のティーガーⅠには発煙弾発射機(スモークディスチャージャー)が付いていませんが、これも脱落しやすいパーツでして、これについては戦闘中に取れたということで問題ないと思います。






——ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします!



今月の後藤氏の指摘も、
8月23日発売の単行本①巻では
加筆修正予定です!

来月の「時代考証」も、乞うご期待!




後藤一信(ごとう・かずのぶ)

軍事関係を得意とする歴史作家・時代考証家。監修・時代考証などで携わった作品は、『ジパング』(かわぐちかいじ)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『士道サンライズ』(髙橋ツトム)、『アルキメデスの大戦』(三田紀房)、『決闘裁判』(宮下裕樹)、『夜明け後の静』(石川秀幸)、『群青戦記 グンジョーセンキ』(笠原真樹)、『新説!さかもっちゃん』(柳内大樹)など多数。プレイステーション版『沈黙の艦隊』では監督を務めた。
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プロフィール

片山ユキヲ(かたやま・ゆきを)
兵庫県生まれ。代表作に、『花もて語れ』『ふろがーる!』(以上、小学館) 『空色動画』(講談社)など。

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  • 夜明けの旅団 (1)

    モーニング・ツー

    夜明けの旅団 (1)

    片山ユキヲ

    発売日:2018/08/23
    定価:本体610円(税別)

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