【スピンオフ企画】『夜明けの旅団』時代考証を大公開 ⑮(2019/11/13)


月刊「モーニング・ツー」(毎月22日頃発売)にて絶賛連載中の、片山ユキヲ氏が描くダークファンタジー漫画『夜明けの旅団』

第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、“死霊”と呼ばれるリビングデッドとの戦いを描く本作は、ファンタジーでありながら時代考証にもこだわり、丁寧な「歴史描写」を続けています。

この作品の時代考証を務めるのが、かわぐちかいじ『ジパング』野田サトル『ゴールデンカムイ』三田紀房『アルキメデスの大戦』などに携わる歴史作家・時代考証家の後藤一信氏です。

本企画では、『夜明けの旅団』の原稿をチェックした後藤氏による「時代考証」を、インタビュー形式の記事で毎月公開していきます。




『夜明けの旅団』第20話を時代考証の視点でチェック!

——月刊「モーニング・ツー」2019年12号(10月21日発売)に掲載されている、 #20「A Song For You」をお読みになっての感想を、時代考証の視点から教えてください。

後藤 思いがけない展開に、目が離せない第20話ですね。今回の注目点は、18ページ目で登場する「M24型柄付手榴弾」です。






後藤 第一次世界大戦時から使用されているドイツ陸軍を代表する兵器で、その登場は1915年にまでさかのぼります。缶詰型の先端部内に、実に170グラムの大容量炸薬を内包、それを木製の柄を使って、遠距離へと投射します。この木製の柄はいわゆる投擲器とうてききで、てこの原理・遠心力を用いる事で大重量物を、より効果的に遠距離へと投射可能としています。同じ原理を用いた武器に「アトラトル」があり、これは主に中央アメリカ一帯、特にアステカ文明で多用されていました。この「アトラトル」の原理は、遙か昔の氷河期時代に登場しています。

「M24型柄付手榴弾」は、第二次世界大戦からベトナム戦争まで米軍が使用し続けた「Mk 2 手榴弾(俗に「パイナップル」と称され、数多くの漫画・映像作品に登場)」の三倍もの炸薬量を誇り、その威力は特筆すべきものがありました。対戦車戦でも、「M24型柄付手榴弾」の先端部(炸薬)を針金でまとめた、いわゆる「集束手榴弾」が多用され、発動機、履帯(キャタピラ)を破壊されて行動不能となった米軍、ソ連軍戦車が後を絶たなかったのは有名な話です。






後藤 アニメーション作家・宮崎駿氏が「照樹務」名義で脚本・演出したTVアニメ『ルパン三世』第二シーズン第145話「死の翼アルバトロス」にも、この「集束手榴弾」が登場しています。また、宮崎氏は「M24型柄付手榴弾」を、映画『ルパン三世 カリオストロの城』でも登場させています。

この「M24型柄付手榴弾」は、蒋介石率いる中国国民党でも使用され、これが日本軍によってコピーされたものが「九八式柄付手榴弾」です。また、ソ連でも同形の「RGD-33手榴弾」が開発され、こちらもベトナム戦争時代まで使用されていました。



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来月の「時代考証」も、乞うご期待!




後藤一信(ごとう・かずのぶ)

軍事関係を得意とする歴史作家・時代考証家。監修・時代考証などで携わった作品は、『ジパング』(かわぐちかいじ)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『士道サンライズ』(髙橋ツトム)、『アルキメデスの大戦』(三田紀房)、『決闘裁判』(宮下裕樹)、『夜明け後の静』(石川秀幸)、『群青戦記 グンジョーセンキ』(笠原真樹)、『新説!さかもっちゃん』(柳内大樹)など多数。プレイステーション版『沈黙の艦隊』では監督を務めた。
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プロフィール

片山ユキヲ(かたやま・ゆきを)
兵庫県生まれ。代表作に、『花もて語れ』『ふろがーる!』(以上、小学館) 『空色動画』(講談社)など。

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