【スピンオフ企画】『夜明けの旅団』時代考証を大公開 ⑤(2018/11/13)


月刊「モーニング・ツー」(毎月22日頃発売)にて絶賛連載中の、片山ユキヲ氏が描くダークファンタジー漫画『夜明けの旅団』

第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、“死霊”と呼ばれるリビングデッドとの戦いを描く本作は、ファンタジーでありながら時代考証にもこだわり、丁寧な「歴史描写」を続けています。

この作品の時代考証を務めるのが、かわぐちかいじ『ジパング』野田サトル『ゴールデンカムイ』髙橋ツトム『士道サンライズ』などに携わる歴史作家・時代考証家の後藤一信氏です。

本企画では、『夜明けの旅団』の原稿をチェックした後藤氏による「時代考証」を、インタビュー形式の記事で毎月公開していきます。




『夜明けの旅団』第8話を時代考証の視点でチェック!

——月刊「モーニング・ツー」2018年12号(10月22日発売)に掲載されている、#8「the river」をお読みになっての感想を、時代考証の視点から教えてください。

後藤 この話の注目ポイントは何と言っても「BMW R75 サイドカー」でしょう。






後藤 「BMW R75」は最初からサイドカー付きのオートバイとして設計されており、従来の、オートバイに側車を後付けしただけのモデルとは一線を画します。象徴的なのは、5ページ目3コマ目でも描かれている、「後進」ができること。通常、オートバイは後進できません。現代の大型オートバイの場合も、発動機起動用のセルモーターを逆転させて後進可能としているモデルもありますが、ごく少数。中にはユーザー個人が改造によりギヤを1段変更して後進用に割り振っているものもありますが、それも例外中の例外です。本来、オートバイは取り回しが良く、後進の必要がないのですが、側車付き前提で設計された「BMW R75」は腕力だけで扱うには重すぎるので、方向転換を容易とするために後進ギヤが設けられているのです。






後藤 ちなみに「BMW R75」の操作系について細かく解説すると、前進4段・後進1段のギヤがあり、後進へは燃料タンク側面にある変速レバー頂部のボタンを押してチェンジする仕様です。さらに高速・低速切り替えレバーも存在するため、実質8速となっています(通常のオートバイ同様、変則レバーを使わなくても、左足のチェンジバーでも変速可能となっています)。そして、この「BMW R75」が凄いのは、側車の駆動系を起動するレバーも設置されており、これを使えば側輪も合わせた「三輪駆動」となり、悪路走破性が格段に向上すること。さらに、雪中行軍用に手足を温める暖房器具まで設置されており、過酷な戦場での運用を想定した軍用オートバイとして面目躍如となっています。このように、「BMW R75」の操作系は他のオートバイよりも特殊なため、33ページ目でハニーバニーが面喰い、十分に性能を引き出せていないのも、リアルな表現と言えます。今後、ハニーバニーがこのサイドカーを乗りこなし、「旅団」の新たな足となっていくのが楽しみです。






時代考証家・後藤一信氏のお墨付き、
単行本①巻は絶賛発売中です!



来月の「時代考証」も、乞うご期待!




後藤一信(ごとう・かずのぶ)

軍事関係を得意とする歴史作家・時代考証家。監修・時代考証などで携わった作品は、『ジパング』(かわぐちかいじ)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『士道サンライズ』(髙橋ツトム)、『アルキメデスの大戦』(三田紀房)、『決闘裁判』(宮下裕樹)、『夜明け後の静』(石川秀幸)、『群青戦記 グンジョーセンキ』(笠原真樹)、『新説!さかもっちゃん』(柳内大樹)など多数。プレイステーション版『沈黙の艦隊』では監督を務めた。
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プロフィール

片山ユキヲ(かたやま・ゆきを)
兵庫県生まれ。代表作に、『花もて語れ』『ふろがーる!』(以上、小学館) 『空色動画』(講談社)など。

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  • 夜明けの旅団 (1)

    モーニング・ツー

    夜明けの旅団 (1)

    片山ユキヲ

    発売日:2018/08/23
    定価:本体610円(税別)

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