【スピンオフ企画】『夜明けの旅団』時代考証を大公開 ⑨(2019/05/03)


月刊「モーニング・ツー」(毎月22日頃発売)にて絶賛連載中の、片山ユキヲ氏が描くダークファンタジー漫画『夜明けの旅団』

第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、“死霊”と呼ばれるリビングデッドとの戦いを描く本作は、ファンタジーでありながら時代考証にもこだわり、丁寧な「歴史描写」を続けています。

この作品の時代考証を務めるのが、かわぐちかいじ『ジパング』野田サトル『ゴールデンカムイ』三田紀房『アルキメデスの大戦』などに携わる歴史作家・時代考証家の後藤一信氏です。

本企画では、『夜明けの旅団』の原稿をチェックした後藤氏による「時代考証」を、インタビュー形式の記事で毎月公開していきます。




『夜明けの旅団』第14話を時代考証の視点でチェック!

——月刊「モーニング・ツー」2019年6号(4月22日発売)に掲載されている、#14「Desperados Waiting for a Train」をお読みになっての感想を、時代考証の視点から教えてください。

後藤 今月は冒頭から、ミリタリー好きとして注目せざるを得ないポイントがありました。人々が暮らすシェルターの入り口、ゲート止めとして使われているのは「Sd Kfz 7 半装軌式8t牽引車」ですね。この車はクラウス・マーフィー社によって開発されたもので、ドイツが誇る対空砲「8.8 cm FlaK 18(及び、その改良型である8.8 cm FlaK 36や8.8 cm FlaK 37)」をはじめ、各種「重砲」を牽引した優秀な軍用車です。第二次世界大戦の全期間を通して使用され、西部戦線、東部戦線、アフリカ戦線など全作戦域で活躍しました。全長6.85 m、全高2.62 m、重量11.53 tのヘビー級ですので、ゲート止めとして使用されるのはとてもリアリティがあります。






後藤 そして10ページ目からは、ミュンヘンに実在する名所「カールス広場」が登場しますが、作画が細かくて素晴らしいですね。中央・奥に描かれている中世の城門のような大きな門が、1791年にバイエルン選帝侯カール・テオドールによって建てられた、広場名の由来にもなっている「カールス門」です。ちなみに、「カールス」とは「カールのもの」という意味ですが、実はバイエルン選帝侯カール・テオドールはミュンヘン市民から嫌われており、かつてこの場所にあった酒場の名前から取って「シュタッフス広場」と呼ぶ市民も多いそうです。






後藤 ジョニーボーイたちが簡易シェルターとして使う、「トラム(路面電車)」についても少し解説します。ミュンヘンにおけるトラムの歴史は古く、開通は1876年にまで遡ります。なおトラムとは英語で、ドイツ語での正式名は「シュトラーセンバーン」です。作中に登場するトラムは、「ミュンヘンFシリーズ」と呼ばれる車輌で、1972年に現役引退するまで実に141両が生産された、「市民の足」でした。







時代考証家・後藤一信氏のお墨付き、
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来月の「時代考証」も、乞うご期待!




後藤一信(ごとう・かずのぶ)

軍事関係を得意とする歴史作家・時代考証家。監修・時代考証などで携わった作品は、『ジパング』(かわぐちかいじ)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『士道サンライズ』(髙橋ツトム)、『アルキメデスの大戦』(三田紀房)、『決闘裁判』(宮下裕樹)、『夜明け後の静』(石川秀幸)、『群青戦記 グンジョーセンキ』(笠原真樹)、『新説!さかもっちゃん』(柳内大樹)など多数。プレイステーション版『沈黙の艦隊』では監督を務めた。
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プロフィール

片山ユキヲ(かたやま・ゆきを)
兵庫県生まれ。代表作に、『花もて語れ』『ふろがーる!』(以上、小学館) 『空色動画』(講談社)など。

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